2024年の Art de vivre - 新年の作戦と人生の岐路 –
みなさん、クリスマスとお正月はいかがお過ごしでしたか?
私は年明けの日本での悲しいニュースを聞いて、友のことを心配していました。まだまだ不安な日々は続くと思いますが、被災した方々が、どうか1日も早く暖かい部屋でゆっくりできますように。
私はというと、フランス人の夫の実家で Noël(ノエル)と年越しをしました。
夫の実家はフランスの西側、パリから高速電車TGVで3時間の La Baule(ラボール)という場所で、近くにはゲランドという塩で有名な場所があります。海の近くの街で、夏は広い海岸にヴァカンスで人が大勢押し寄せますが、冬は地元民だけが帰ってくるような場所ということもあり、ほっこり心温かな時間を過ごしました。
さて、前回のコラムでは「クリスマスシーズンに準備すること」という内容についてお伝えしました。
復習してみると、ノエルまでに、集まる家族全員分のプレゼントとをキラキラした特別な服を用意すること。それらをトランクに詰めたら、パリから脱出して故郷に向かうこと。そして家族に会えたら、たくさんのビズをして、たくさんの美味しい食べ物とワインをたらふくいただくこと、そんなことをお伝えしました。
無事到着してからのトピックス。ノエルの名物、去勢され大きく太った雄鳥くんの Chapon(シャポン)はすごかった!皮の間にトリュフのスライスを入れて煮込んだ後、さらにお腹の中にはお肉とキノコ、栗を混ぜたファスを詰め込んでオーブンで焼くのです。これがまた素晴らしく美味しかったのですが、シャポンを煮込んだブイヨンを次の日にスープにして飲んだら、なんと私…お腹を壊してしまい一日中寝込んでしまいました。きっと、毎日美味しいものを飲み食べし過ぎの私の胃は、シャポン君の出汁油たっぷりのスープでついにノックアウトだったのかもしれません。
そして、決意表面しておりました夜中のミサに行けたのかというと…やっぱり飲みすぎで行けなかった…(無念)。残念だけどそんな気がしてたんだ…。夫に聞いたところ、彼も「久しく行ってない」とのこと。お酒を飲むのが好きな家庭はミサに行けないんだと確信しました(笑。楽しい家族の時間は美味しいワインとセットなのですから!とはいえ、どうやったら夜のミサに行けるのか、今年はしっかり作戦を立てようと思います!
大晦日(Réveillon du Nouvel An)はお友達が10人集まり、夜中までお祝いでした。美しく贅沢なお食事と一緒にいただく愉快なお話とシャンパンが止まらない。そしてカウントダウンをしたら「Bonne Année!(あけましておめでとう)」と言ってビズ大会。そして最後には、食べても食べても出てくる大量のデザートです。結局大晦日のパーティーが終わったのは夜中の2時。フランス人って本当に元気ですよね。
今回、そんな一連の時間を通して私が年末年始に学んだ一番大切ことは、美味しい食事と楽しいお話をさらに美しくしてくれるのは ”テーブルデコレーション” だということ。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、フランスでは日常なのです。テーブルにクロスを何重にかけお花や蝋燭をテーブルセンターに配し、お皿も何重かに重ねてフォークとスプーンを料理によって使い分けられるように配置します。日本で蝋燭といえば仏壇を連想してしまうかもしれませんが、こちらでは豊かな夜の時間を過ごすための必須アイテムなのです。”テーブルデコレーション” はただの装飾ではありません。これはホストの愛と、みんなに幸せに過ごしてほしいという気持ちの表現なのです。そのことを再度実感した時間でございました。
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2024年3月でフランスに引っ越してきて2年となります。
一年目は何がなんだかわからないままジェットコースターに乗車してたんだけど、二周目(二年目)の終点がそろそろ見えてきた感じです。三周目ももちろん継続して乗り続けますが、どのあたりで絶叫して、どのあたりで風景を楽しむものか、わかってきたのでそろそろ両手をあげてみたい。両手を上げるっているのは「降参!」って意味ではなくて、ガードに捕まって縮こまるのではなく、余裕を見せて楽しんでいきたいという意味。
とはいえ、どうやったら余裕を持って楽しめるのか、その方法はいまだに答えがわかっていないのだけれど、自分の指針でもある「やるかやらないか、、やる!」という考えには変わりはないので、やっぱり、何か新しい挑戦を思いついたら「やる!」なのです。
効果があるのか、意味があるのか、そんなことはわからない。ただただ、やってみないとわからないのだから。
人生の岐路
今までのあなたの人生に、いくつの分かれ道がありましたか?
私の場合、一つ目は会社員を辞めて独立した時、二つ目は離婚した時、三つ目は再婚してフランスに移住した時、そしていま四つ目、日本の会社とフランスの会社の両立のために何を選択するのかという岐路にいます。正直なところ、日本の会社は私がフランスに移住してからは経営的に難しく、立て直しのために日本に帰るべきか?と検討もしてたこともあります。しかし、私がいなくても成立するインテリアショップであって欲しいという想いもあり、日本のスタッフを信じて任せて進んでいきたいと思っています。
本当にこれでいいのか、まだ明確な答えは全く見えていなくて、正直どうしたら良いのかわかりません。いま私ができることは、新しい作戦を練って挑戦をしてみること。独立して15年ですが、良い時も悪い時も、新しい挑戦はいつだって楽しいと信じているのです。
今日、パリで成功したことで有名な日本人先輩とお話しさせていただく機会があったのですが、「どうやったら会社を継続していけるのか、その秘訣は?」と尋ねたところ、「儲からないからやめる!」とおっしゃったんですよね。その言葉に ”????” となって、その時は何も言えなかったんです。けれども実際彼はここ、異国であるパリでのビジネスをずっと続けているし、今も新しいチャレンジをし、素敵な人生を送っている。ということは…要はやめると言いながらも、実際には新しい作戦や挑戦を続けているってことなのかなと理解しています。あきらめないっていう重要性とも言えるでしょうか。
結局のところ、大切なのは ” Art de vivre – 人生の哲学や道徳、生活美学を味わい、感謝すること” なのであって、今何を必要としていて、何を優先して幸せになるのか、日々考え実行していくことこそ豊かな生活なんだということなのかもしれません。人生を深く味わえるようになると岐路も変わってくるものですし。
さて、フランスで一年で一番大切な行事のノエルが終わりました。そろそろ三年目を迎えるにあたって、坂田夏水、気合を入れスタートを切りたいと思います!!
私が属しているインテリア業界の方には著名なイベント ”MAISON&OBJECT(通称:M&O)”と同時期に、 ”Paris Deco Off ” がパリ市内で開催されます。インテリアのプロフェッショナルはメゾンよりむしろこちらのイベントに来て、パリ中のショールームを見てまわるんです。
ということで、次回はこのイベントweekについてレポートしたみたいと思います。
今年が私の勝負年。皆さん、一緒に頑張りましょう。
Meilleurs vœux pour 2024!!
夏水
● 坂田夏水(さかたなつみ) さんて、こんなひと。
1980年生まれ。2004年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。
アトリエ系設計事務所、工務店、不動産会社勤務を経て、2008年に空間デザイン会社として夏水組設立。女性の視点によるリノベーションや内装デザインで注目を集める。その他、商品企画のコンサルティングやプロダクトデザイン等を手掛ける。DIYやセルフリノベーションに関する書籍を多数執筆。
【メディア出演】
NHK「世界はほしいモノにあふれてる」 フジテレビ系列「セブンルール」「めざましテレビ」 日本テレビ系列「幸せ!ボンビーガール」外観・内装の立て直し屋 として出演 等に内装デザイナーとして多数メディア出演。
空間デザイン会社 夏水組
吉祥寺店舗 Decor Interior Tokyo
ネットショップ MATERIAL
パリ店舗 BOLANDO